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感想・書評「忘れられた巨人(カズオ・イシグロ)」ネタバレ注意・ファンタジー小説で、中世イギリスを舞台に騎士やドラゴン、鬼や妖精などが登場(レビュー)。 #読書


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忘れられた巨人(カズオ・イシグロ): ファンタジーだが、リアルさが伝わってくる小説

カズオ・イシグロ初となるファンタジー小説で、中世イギリスを舞台に騎士やドラゴン、鬼や妖精などが登場したりと、わくわくするような世界が描かれています。ですが、ただ楽しいだけのファンタジーにならないのが、イシグロのすごいところです。
ドラゴンが吐く息が、記憶を奪う霧となって世界を覆う中、老夫婦のアクスルとベアトリスが遠く離れた息子に会いにいくというストーリーなのですが、その霧が晴れてくる物語の終盤が最大の見どころです。霧が消えると同時に、夫婦の様々な記憶が蘇ってくるのですが、それは決して楽しいだけの記憶ではありません。波のように寄せては返すふたりの感情に思わず目頭が熱くなりました。
誰しも持っている、あるいは忘れてしまっている人間の記憶が本作の大きなテーマになっているからこそ、ファンタジー世界が圧倒的なリアルさをもって読者に伝わってきます。そして『忘れられた巨人』というタイトルがいっそう意味深いものに思えてなりません。

ありがとう寄稿。

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