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誰も知らないわたしたちのこと(シモーナ・スパラコ)感想&書評!若いイタリア人夫婦の妊娠にまつわる苦悩を描いた(ネタバレ注意) #小説


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シモーナ・スパラコの「誰も知らない私たちのこと」

若いイタリア人夫婦の妊娠にまつわる苦悩を描いた小説です。
待ち望んだ妊娠だったものの、出生前診断により胎児異常が見つかって医師にある決断を迫られます。

主人公の赤ちゃんを思う気持ち、その夫の妻を思う気持ち、家族や医師の思いやり、そしてどうしようもできない現実がノンフィクションのようでとても切なかったです。

実際、著者の経験に基づく小説だということで、文章や伝わってくる緊迫感、登場人物の感情がとてもリアルに伝わってきました。イタリア語からの翻訳のせいか、最初は文章表現が回りくどくて分かりにくかったのですが、慣れると小説の中にぐいぐいと引っ張られていきました。

医療が発達し、様々な病気の早期発見が可能となり、以前は助からなかった命も病状や処置によっては助けることができるようになりました。しかしその反面、まだ生命となって間もない赤ちゃんなどは、発見が早期すぎて、また小さすぎて命を繋げる処置さえできないという現実があります。きっとそれは以前なら流産や子宮内死亡になってしまったであろうことです。けれど、妊婦みんなが受けるようなエコー診断で胎児異常と分かるようになり、診断を告げられた妊婦はとてつもない不安と絶望に苦しまなければならなくなります。

主人公の苦悩とこれからのことを思うと、決断は誰にも責めることができないものであると思います。また現実においても、主人公のような妊婦の決断を責めない、そういう社会であってほしいと思いました。小説を読んでこのような悲しい現実が実際に多く起こっているのだと知り、この本をたくさんの人に読んでほしいと感じました。

とても印象に残った文章です。
「私の子は生きるには弱すぎて、死ぬには強すぎるのだ」
言葉に込められた想いが深すぎて、忘れることができません。
涙なしには読めない本です。