リアルワールド(桐野夏生)女子高生のリアル
桐野夏生(きりのなつお)さんの作品が好きなので、今まで購入していなかったこちらの作品を買ってみました。
こちらは母親を殺した少年を中心に、四人の女子高生が翻弄されていくストーリーですが、とにかく女子高生それぞれの心理描写がリアルです。なぜもう学生ではない桐野さんが、ここまで若い女の子の世界をリアルに書けるのか本当に不思議です。
中でもテラウチの心の葛藤と、十四子との関係性は胸を打ちました。テラウチはとても賢いゆえに全てが自己完結していて、人に対して弱い部分や本心を伝えられなかったのだと思うのですが、最後に十四子にだけは胸の打ちを話すことが出来て、そこがまた悲しかったです。
テラウチは己の死をもってしてでないと話すことが出来なかったのです。彼女の場合、何も語らずに死ぬことも出来たと思うのですが、十四子に遺書を書いたのは、十四子に対する優しさなのではないかと思います。
そして、個人的にはキラリンのキャラクターも好きです。遊び人の自分と学園生活で真面目に過ごしている自分、両方の仮面を持ち、要領よくこなしていると思っているけど、分かる人から見たら遊んでいるのがバレバレというのもなんだかリアルです。
この作品は、タイトルのとおり圧倒的にリアルな世界観を感じられる物語です。