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感想・書評「ひらいて(著者・綿矢りさ)」ネタバレ注意・女子高生が主人公の恋愛小説で、感性豊かな文章と予想外な展開が見所です(レビュー)。 #読書


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ひらいて(著者・綿矢りさ)は女子高生が主人公の恋愛小説で、感性豊かな文章と予想外な展開が見所です。

ひらいて(著者・綿矢りさ)を購入し、一ページ目を読んだ瞬間から一気に引き込まれました。綿矢りさといえば、芥川賞をとった蹴りたい背中が有名だと思います。私もその作品を読み、一行目に書かれた「寂しさは鳴る。」という文章で、感性豊かな描写に心惹かれたものです。本作は、女子高生が主人公の恋愛小説です。華やかで異性からも人気のある主人公は、クラスメイトの地味な男子生徒に恋心を抱きます。

しかし、その男子生徒には密かに手紙をやり取りする女の子がいて、主人公はその手紙を盗み、やり取りしている相手が同級生の女子生徒だと知りました。主人公は女子生徒に近付き、友達になります。そこから、事態は予想外な展開へと向かっていくことになるのです。本作の帯には「もう一回やり直そうよ、ファーストキス。」と書かれてあり、中身を読むまでは恋慕う相手に向けたものだと思いました。しかし、その言葉は男子生徒と付き合っている女子生徒へ発したものだったのです。女子生徒のひょんな勘違いを利用して、主人公は女子生徒と身体の関係を持つことになります。女子生徒への恋心はないはずなのに、暴走する主人公の姿は疾走感があり、著者の美しい文体と感情描写に本を読む手が止まらなくなりました。予想の出来ない展開が面白く、エンタメ性に満ちた純文学という斬新さがあります。結局主人公の恋は実らないのですが、読後感は爽快でした。高校生ならではの後先考えぬ勢いある行動、切なさと甘酸っぱさが凝縮された文章が見所です。普通の青春小説では物足りない方に、一筋縄ではいかない綿矢りさワールド全開の本作を楽しんでほしいです。

ありがとう寄稿。

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